運転免許の再試験の内容と合格率
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再試験とは?
普通免許や大型二輪免許、普通二輪免許(小型二輪を含む)、原付免許は、取得してから1年が経過するまで「初心運転者期間」として扱われます。
この期間中に違反点数が一定の基準以上になると、運転免許試験を再び受けなければなりません。これを「再試験」と呼びます。
基準となる違反点数は以下の通りです。いずれか1つでも該当すると再試験の対象者になります。
- 違反点数が1点または2点の違反を繰り返し、合計3点以上になった場合
- 1回の違反で3点が付く違反をして、その後さらに1点以上の違反をした場合
- 1回の違反で4点以上となる違反をした場合
上記の対象となるのは初心運転者期間中の免許だけになります。
例えば、原付免許を取得してから1年以上経過(初心運転者期間が終了)している人が、普通免許を新たに取得し初心運転者期間である場合は、「普通自動車」を運転中に起こした違反の点数のみが「初心運転者期間の違反点数」として数えられます。
原付を運転中に受けた違反点数は、「初心運転者期間の違反点数」には合計されず、「通常の違反点数」として数えられます。こちらは一般的な免許停止や取り消しの際に基準となる点数です。
つまり、初心運転者期間中の免許が普通免許であれば普通免許の再試験を受け、大型二輪免許であれば大型二輪免許の再試験を受けるということです。
再試験に合格した場合は、そのまま運転免許証を所持することができます。不合格の場合は該当の免許だけが取り消されます。
再試験の内容
再試験は通常の運転免許試験と同じ内容、審査基準で行われます。実施場所は運転免許試験場(運転免許センター)であるため、いわゆる一発試験を受けることになります。
普通免許の再試験の場合は「仮免許試験は免除され、本免の学科試験と技能試験を受ける」ことになります。大型二輪免許と普通二輪免許の再試験では学科試験と技能試験を受けます。原付免許は学科試験のみ(もともと技能試験は無い)を受けることになります。
いずれの免許でも適性試験は免除されるので視力検査等は行いませんが、原付以外は技能試験があるため、メガネ等を使用している人は準備しておく必要があります。
普通免許の試験課題については一発試験とは?のページ中程に詳細があります。
再試験の受験期間
再試験は「初心運転者期間が終了した後」に行われます。免許を取得後すぐに再試験の基準に該当したとしても、試験が行われるのは初心運転者期間が終了してからです。対象者には「再試験通知書」というものが届きます。
再試験が遅れて実施されるのには理由があり、それは法律の趣旨として「対象者に安全な運転の知識と技能を身に付けさせる」ということがあるからです。再試験が行われる日まで充分な期間を取り、運転者が練習できる機会を与えて合格することを促しています。
何だか少し暖かい制度のようにも感じられますが、だからと言って採点が緩いわけではなく、合格率も高いわけではないのでしっかりとした練習は必要です。
通知書には再試験を行う理由や対象となる免許の種別、受験場所などが記載されています。この通知書が届いた日の「翌日」からの1ヶ月間が再試験の受験可能期間です。例えば、11月1日に通知書が届いた場合は、11月2日から12月2日までが受験期間になります。配達証明等で届くので、知らないうちにポストに入っていたということはないと思います。
この受験可能期間内であればいつでも受験できるのですが(試験場が免許試験を受付をしている日のみ)、受験できるのは1回だけで複数回受験することはできません。
ただし、受験者が多い場合は試験の日時を指定されることがあります。その場合は、その日時までは受験ができないわけですから「やむを得ない事情」に該当するため、その日数分だけ受験可能期間が延長されます。
受験科目については、可能な限り学科試験と技能試験を同一日に行うよう規定されていますが、天候などの状況により別々に行われることもあります。
理由があって受験できない場合
やむを得ない理由がある場合は?
やむを得ない理由があって期限内に受験できそうもない場合は期限の延長が認められることがあります。やむを得ない理由とは道路交通法施行令第三十七条の四に再試験受験期間の特例として次のように定められています。
- 海外旅行をしていること
- 災害を受けていること
- 病気にかかり、又は負傷していること
- 法令の規定により身体の自由を拘束されていること
- 社会の慣習上又は業務の遂行上やむを得ない緊急の用務が生じていること
- 免許の効力が停止されていること(当該再試験が普通自動車免許について行われる場合に限る)
- 前各号に掲げるもののほか、公安委員会がやむを得ないと認める事情があること
最後にある「公安委員会がやむを得ないと認める」とは、例えば天候の事情で試験が実施できなかった場合や、引っ越しによる運転免許の手続きに起因するものなどが想定されています。あるいは、再試験の条件に本当に該当しているのかについて、運転者と公安委員会の間に争いがある時にも延長されることがあります。
延長された人がその後、再試験を受験することになったら、やむを得ない理由を証明するものが必要です。
提出物の例としては、海外に滞在していたのであればパスポート、病気であれば入院証明書、診断書、災害に遭っていたら罹災証明などを提出します。
診断書や公的機関が発行する証明書などの作成には時間がかかることが多いので、受験日を見積り、早めに依頼をしておけば慌てずにすむと思います。
免許停止中で受験できない場合は?
普通免許の再試験では技能試験の時に路上(一般道路)を走行するため、その時点で有効である免許証が必要です。ですから免許停止中は技能試験を受けるけることが出来ず、受験期限が延長されます。
免許停止が解除されたら、延長された期間内に受験することになります。
※関連ページ
交通違反後の免許停止・取り消しと反則金・罰金処分の流れ
免許停止処分者講習の内容と受講率、短縮できる日数
本免技能試験のポイント
特に理由もなく受験をしなかった場合
再試験を受験するのは任意となっています。受験しなければ免許取り消し処分になるだけです。その場合、取り消し処分を受ける前に「意見の聴取」というものが開かれ、運転者は呼び出しを受けます。
この意見の聴取の出席も任意であり、出席しない場合は特に意見が無いものとして処理されることになります。
わざわざ運転者の意見を聞くなんて、「もしかしたら免許取り消しが撤回されたり、免許停止に軽減されるのでは?」という淡い期待を持ってしまうかもしれません。
残念ながら再試験の不受験の場合は「意見の聴取に出席してもしなくても免許は取り消し処分」であることがほぼ確定しています。行政処分における形だけの手続きです。
ですから、やむ得ない理由があったことを説明したい人や、特に争いたいことがある人以外は出席しなくても問題はありません。
影響のあることといえば、免許取消処分日が少し延びることと(処分の通知が郵送で来るため)、それに伴って免許再取得を開始できる日が遅れてしまうということぐらいです。
その遅れもわずかの違いでしかありませんが、「仕事で免許が必要なので1日でも早く再取得をしたい」という人は出席した方が良いかもしれません。
意見の聴取で行われることや流れについては意見の聴取の具体的な内容と流れのページを見てください。
再試験に合格した場合は?
合格した場合は、そのまま免許を所持することができます。初心運転者期間を終えた一般の人と同じような扱いを受けることになります。
再試験が不合格の場合は?
不合格の場合は免許取消処分になります。上述の通り、取り消しになるのは再試験を受けた免許だけです。複数の種別の免許を持っている人は、一度免許証を返納して書き換えて(手数料はかかりません)返却されることになります。
例えば、大型二輪免許と普通免許を所持している人が、普通免許の再試験で不合格となった場合、普通免許だけが取り消されることになり、大型二輪免許については何も影響を受けることはありません。
取り消し処分は再試験後に即日行われます。
再試験が免除される条件
以下にある4つの条件のうち、1つでも満たしてれば再試験が免除されます。免除されれば再試験に合格した場合と同等に免許を継続して持つことができます。
初心運転者講習を受講する
原付免許以外は再試験で合格することが極めて困難なため、免許を継続したい人の多くが初心運転者講習を受講しています。
ただし講習終了後、初心運転者期間中に再び再試験の対象者となった場合は受講できません。
初心運転者講習については初心運転者講習の内容と免除される条件、受講者数を見てください。
上位免許を取得する
例えば、普通二輪免許であれば上位免許である大型二輪免許を取得すると、普通二輪免許の再試験は免除されます。
原付免許なら各種仮免許と小型特殊以外のすべての免許が上位免許です。普通免許では一種中型免許、二種中型免許、一種大型免許、二種大型免許が上位免許になります。大型二輪免許には上位免許がありませんので、この免除制度が適用されません。
免除される理由は、より難易度の高い上位免許を取得したことによって「安全な運転に必要な知識、技術があるため再試験を行う必要がない」と判断されるからです。
上位免許は再試験の受験期限日までに取得しておく必要があります。そして取得できたことを報告すると、確認の「再試験通知取消通知書」というものが届けられます。
※関連ページ
運転免許試験の合格率
技能試験のポイントと練習場所・練習方法
過去に上位免許を保有していた人
例えば、中型免許や大型免許を保有していた人が有効期限切れによる免許失効をして、そのあと普通免許を再取得した場合、その普通免許の再試験は免除されます。ただし、免許失効から6ヶ月以内に再取得している必要があります。
※関連ページ
有効期限切れによる免許失効からの再取得と優遇措置
過去に同種の免許を1年以上保有していた人
例えば、普通免許を1年以上保有していた人が有効期限切れで失効をして、そのあと再び普通免許を取得した場合、その普通免許の再試験は免除されます。これも同様に免許失効から6ヶ月以内に再取得をしている必要があります。ただし、以前保有していた免許が再試験による取り消しなどを受けていた場合は免除されません。
再試験の合格率
再試験の合格率は下記の表のとおりです。ただし、以下の数値は学科試験と技能試験が合計されており、原付免許と普通二輪免許、大型二輪免許、普通免許のすべての試験の結果を合計したものとなっています。つまり再試験全体の合格率です
学科試験と技能試験の個別の合格率や、免許種別ごとの合格率は公開されていません。
年 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
平成18年 (2006年) |
5319 | 1148 | 21.5% |
平成19年 (2007年) |
4342 | 1169 | 26.9% |
平成20年 (2008年) |
3661 | 978 | 26.9% |
平成21年 (2009年) |
2905 | 749 | 25.7% |
平成22年 (2010年) |
2624 | 716 | 27.2% |
平成23年 (2011年) |
2431 | 722 | 29.6% |
平成24年 (2012年) |
2335 | 604 | 25.8% |
平成25年 (2013年) |
2117 | 530 | 25% |
平成26年 (2014年) |
1925 | 483 | 25% |
初心運転者期間制度による取り消し者数などのデータは取消理由別、欠格期間別の免許取消処分者数に掲載しています。
再試験を受験する場合の練習
上述の通り、免許取り消し処分が出るまでは免許証が有効なので、一般道路でも練習をすることは可能です。運転の練習については、技能試験のポイントと練習場所と練習方法を参考にしてください。
再試験の後は?
再試験が免除された人も免除されなかった人も、「通常の違反点数」による他の処分も続いて受けることがあります。その処分の流れについては免許停止・取り消し処分の流れと、反則金・罰金処分の流れを見てください。
「通常の違反点数」による免許取り消しの場合は欠格期間が1年~10年の間で設定されます。欠格期間というのは免許の再取得が禁止される期間のことです。「再試験による取り消し」にはその欠格期間が設定されないことになっています。更に「通常の違反点数」による取り消し処分者には義務となっている取消処分者講習の受講も免除されているので、取り消し処分を受けた日の「翌日」からすぐに免許の再取得に取りかかる事ができるようになっています。