意見の聴取の具体的な内容と流れ
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意見の聴取とは?
違反点数の合計が「免許停止90日以上」、または「免許取り消し」の基準に達した場合に行われるものです。
違反者に対する処分が公平公正となることを目的としており、違反についての事実確認や、その時の状況などについて質問を受けたりします。又、処分を受ける人が自分の意見を述べたり、違反をしてしまった事情などを話す機会もあり、有利となる証拠品なども提出することが可能です。
国際運転免許証で90日以上の運転禁止に達した人、あるいは初心運転者に関わる再試験を受けずに免許取消処分となる人にも、意見の聴取は行われます。
免許停止や免許取消処分のことを「行政処分」とも言います。行政処分をする際には「意見の聴取」を行うということが法で定められています。ただし、「免許停止90日未満」の場合は対象外で、意見の聴取は行われません。
行政処分や刑事処分(罰金や禁固、懲役など)の全体的な進み方については、交通違反後の免許停止・取り消しと反則金・罰金処分の流れのページにあるフローチャートを見て下さい。
実施日
違反をした日から約2週間後、遅いと約半年後ぐらいに意見の聴取は行われます。日時と場所は、その1週間前までに郵送で通知されることになっています。
「1週間前」に通知が送られることもあるので、同席させたい弁護人や提出したいものなどがある場合は予め準備しておく必要があると思います。
病気や社会生活上やむを得ない(例えば冠婚葬祭など)と認められるような事情が無い限り、日時を変えることは原則的に認められていません。
地域や違反の内容、事故の状況によっても変わりますが、赤キップ(告知書)をもらい裁判も受ける場合には、その終了後に意見の聴取が実施されることが多く、人身事故が関係している場合は意見の聴取の方が先に行われることが多いようです。
場所
場所は警察署や運転免許試験場(運転免許センター)などで行われます。
意見の聴取が開かれる前に引越しなどで住民票の住所が変わったとしても意見の聴取は受けることができます。住所変更元から変更先の公安委員会へ処分移送通知書というものが送られ、住所変更先で意見の聴取を受けることになります。免許証の住所変更手続きは通常通り必要です。
意見の聴取通知書について
意見の聴取の一週間前までに届く通知書には今回処分される理由だけでなく、過去の違反点数と内容、免許停止と取り消し回数なども記載されています。これらを合計して「処分基準に達した」ということになります。通知書に記載されていない違反は累積違反の対象になっていないということです。
累積違反点数は基本的に過去3年以内の違反・事故が対象となりますが、「今回の違反」までに無事故・無違反の期間がどれくらいあったかによっても変わってきます。詳しくはこちらを見て下さい。
1点の違いにより免許取り消しが停止になったりするので、記載内容に間違いがないかを確認しておきます。違反点数、免許停止・取り消し処分回数などについて不審な点があったら、「意見の聴取が行われる前に」問い合わせておくと良いと思います。
当日は「今回犯した違反」について話す場所なので、細かい違反点数については時間的に余裕が無いこともあり、あまり真剣に対応してくれない可能性があるからです。
現状の意見の聴取は事実関係を詳しく聴取する場ではなく、「情状酌量をお願いする場」といったほうが適切かもしれません。
当日必要な書類等
- 意見の聴取通知書(郵便等で届く)
- 印鑑
- 免許証(もしくは運転免許停止処分書)
- 交通費(免許停止や取り消し処分となる場合は意見の聴取後、当日から「処分執行」となるので車の運転ができなくなります。ですから行き帰りに公共交通機関などを使うことになります)
- 嘆願書、示談書など(自分にとって有利な資料などを提出する場合は用意する)
- その他意見の聴取通知書に記載のもの
服装についてはほとんどの人が普通の私服で来ています。少しでも印象を良くするためにスーツにネクタイで行くべきという意見もありますが、後述する「処分の際に基準となるもの」を見ても服装は関係ないことがわかります。
付添人を同席させることが可能
ほとんどの人は1人で出席しているのですが、「1人でなければならない」ということではありません。意見の聴取には一緒に付添人も出席できる、ということが制度として認められています。
どのような人がこの制度を利用しているかというと、例えば運転を生業としている人達です。この人達は運転免許の無効が失業と直結するため、少しでも処分を軽減するために交通違反・交通事故を得意としている弁護士などに一緒に出席してもらうということがあります。
あるいは「前科」が付くことをどうしても避けたい人(前科があると就業が難しくなる一部の公務員を目指している人)などです。
処分軽減の可能性など簡単なことであれば無料で相談に乗ってくれるところもあるので、運転ができなくなると「どうしても困る」、「前科・前歴を作りたくない」という人は相談するのも一考です。
実際に依頼するとなると、それなりの費用がかかります。その場合は加入している自動車保険の約款に弁護士費用を負担してくれる「弁護士費用特約」のようなものがないか確認してみて下さい。
付添人を出席させる場合には申請が必要となるので、事前に手続きをしておきます。
意見の聴取当日
当日、指定場所へ行くと免許証または処分書を預けます。
免許証などを忘れても受付てくれる地域もあるようですが、この場合、後日執行となり、処分開始(免許停止日数のカウントなど)が遅れてしまうことになります。
意見の聴取や行政処分についての説明が全員にされた後、順番に呼び出され、今回犯した違反・事故の内容と今までに免許停止や取消処分などを受けた回数(行政処分の回数)、過去3年の累積違反点数などの確認をします。
そして今回の違反について事実確認の質問を受けます。質問をしてくる人は聴聞官と呼ばれ、公安委員、または委任された警察官が務めています。その他、数人の警察官も出席します。
「違反内容に間違いはないか」などは、出席者全員に確認しますが、他は人それぞれです。例えば以下のようなもの質問がされます。
- 違反をしてしまった原因は?
- 仕事で運転している時に違反したのか?
- どこでどのくらい飲んだのか(酒気帯びなどの場合)?
- スピードを出してしまった理由(スピード違反であった場合)
- 反則金(罰金)の支払いはすんだのか
- 交通事故の場合は相手の状況、示談等の話し合い状況
場所が場所だけに、うまく伝えられないかもしれませんから、これらの事を質問された時に言いたいことがあるのであれば、予め考えておくと良いと思います。
最後に、「何か言いたいことはありますか?」というようなことを尋ねられるので、この時に上申書・嘆願書(例えば勤務先に依頼したもの)、警察や消防などから受けた表彰状、感謝状などを提出することができます。自筆の反省文を提出する人もいます。
交通事故を起こしたのであれば被害者との和解が進んでいることを示すもの(示談書など)を提出することも認められています。弁護士など付添人がいるのであれば、弁明してもらうことも可能です。
道路交通法第104条に、
意見の聴取に際しては、当該処分に係る者又はその代理人は、当該事案について意見を述べ、かつ、有利な証拠を提出することができる
という条文があるので、特にやむを得ない事情があった人などはしっかり伝えておきましょう。
1人の聴取時間は5分程度ですが、全員の聴取が終わるまで待機するため時間がかります。
処分の際に基準となるもの
処分をする際の基準として、免許停止・取り消しの軽減基準が定められています。この軽減基準と意見の聴取の内容が加味され、処分は決まります。
意見の聴取終了後
全員の意見の聴取が終わった後、1人1人に免許停止の日数が書かれた「運転免許停止処分書」、または「運転免許取消処分書」が渡されます。これにより自分の処分が判明します。
処分書を渡された時点で「処分執行」となります。つまり、意見の聴取の当日が免許停止期間の第1日目、あるいは免許取消者の欠格期間の第1日目ということになります。
その後、免許停止処分となった人に対しては免停期間の注意事項や、停止期間を短縮することができる停止処分者講習についての説明があります。
免許取り消しの人に対しては、欠格期間や免許を再取得する場合の手順、取消処分者講習などについての説明がされます。
・関連ページ
取消理由別、欠格期間別の免許取消処分者数
交通違反後の免許停止・取り消しと反則金・罰金処分の流れ
一発試験又は自動車教習所で普通免許を取得・再取得する流れ
MT・AT免許の取得割合、一発試験合格率等データ
運転免許・一発試験関連の法改正など
意見の聴取を欠席した場合は?
意見の聴取は欠席することもできます。それによって罰せられることもありません。上述の通り、これは意見の聴取が処分を受ける人に「弁明する機会」を与えることを目的としているからです。欠席する場合は、郵送されてきた「意見の聴取通知書」の欠席に丸をつけて返送するようにします。
本人が出席できない時は申請して代理人を出席させることも認められています。条件は20歳以上で、処分を受ける人の代わり質問を受けたり、意見や事情などを述べることになっています。
欠席(特別な事情も無く)した場合や住所不定で日時などが通知できない時は、結果的に「特に言いたい事が無く、有利となる証拠品も提出できない」ということと受け止められ、書類のみで審査し処分されることになっています。処分結果は後日、郵送されます。
このような場合でも処分が軽減されることはあります。ただし、心証は幾分か悪くなるかも知れませんので、処分がどうなるのか微妙な場合は欠席しないほうが良いかもしれません。