免許の取得・更新時に持病について申告することが義務化される
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2014年6月1日から施行される改正道路交通法では、運転免許の新規取得や更新時に病気等に関する質問票に回答することが義務化されました。
改正された理由は、意識障害を伴うてんかんや睡眠障害の運転者による死傷事故が相次いだことにあります。事故を起こした運転手が、いずれも病気についての申告をしないで更新していたことが問題となりました。
改正前も免許更新申請書などの裏面には「病気の症状等申告欄」というものがあり、病気等の申告は必要でしたが、任意であり罰則も設けられていませんでした。
改正後は、病気の症状等申告欄が「質問票」へと変わり、回答することが義務となりました。罰則も設けられ、虚偽の回答をすると「1年以下の懲役、または30万円以下の罰金」が科されることになります。
新しく設けられた質問票の内容は以下の5つです。病名を書くことはありません。
- 過去5年以内において、病気(病気の治療に伴う症状も含みます。)を原因として、又は原因は明らかでないが、意識を失ったことがある。
- 過去5年以内において、病気を原因として、身体の全部又は一部が、一時的に思い通りに動かせなくなったことがある。
- 過去5年以内において、十分な睡眠をとっているにもかかわらず、日中、活動をしている最中に眠り込んでしまった回数が週3回以上となったことがある。
- 過去1年以内において、次のいずれかに該当したことがある。
・飲酒を繰り返し、絶えず体にアルコールが入っている状態を3日以上続けたことが3回以上ある。
・病気治療のため、医師から飲酒をやめるよう助言を受けているにもかかわらず、飲酒をしたことが3回以上ある。- 病気を理由として、医師から運転免許の取得又は運転を控えるよう助言を受けている。
以上の質問に「はい」と「いいえ」のどちらかに◯をつけて回答します。「はい」に◯を付けたからといって即座に免許の更新を拒否されたり、現在有効な免許の停止や取り消し処分になるということはなく、医師の診断をもとにして判断されることになります。
対象となる病気は?
次のようなものが例としてあげられています。
- 統合失調症
- てんかん
- 再発性の失神
- 無自覚性の低血糖
- そううつ病
- 重度の眠気症状を呈する睡眠障害
- 認知症
- その他自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれのある症状を呈する病気
- アルコールや薬物等の中毒
医師に関することでは、患者が一定の病気等に該当すると認知し、その患者が運転免許を所持している場合は「診察結果を公安委員会に届け出る」ことが認められるようになりました。これは任意となっているので、必ず届け出がされるというわけではありません。
また、「医師の方から公安委員会に患者が免許を所持しているのかを尋ねる」ことができるようにもなりました。このあたりのことが心配であれば医師に直接尋ねてみてください。
※てんかんのある人の運転免許については、詳細な情報が日本てんかん協会のホームページにあります。
患者には免許を持たさいよう厳しくなっていくのか?
以上の通り、法律は厳しくなりましたが、患者の負担を軽減するための制度も同時に導入されています。それは、一定の病気等が原因で免許を取り消された人が症状の軽減により免許を再取得する場合、取り消しから3年以内であれば学科と技能試験が免除されるというものです。実質的に適性試験のみで以前の免許を再取得することができます。
さらに平成27年6月1日からは免許経歴に関する優遇措置も導入されます。一定の病気等が原因で免許を取り消された人が取り消された日から3年以内に再取得する場合は、「以前の免許が継続していたものとして扱われる」というものです。要するにゴールド免許を所持していた人が再取得をした場合、引き続きゴールド免許を所持できるということです。
準中型免許が設置されることが決定したので、今後病気が改善して免許を再取得することになった場合は、この優遇措置の適用を申請をしてください。準中型免許の導入後に優遇措置を利用せず新規取得者として扱われると、普通免許で運転可能な車両が大幅に制限されることになってしまいます。
病気による取り消しから再取得をする場合の詳細については有効期限切れによる免許失効からの再取得と優遇措置を見てください。病気等による免許取り消し者数などのデータは取消理由別、欠格期間別の免許取消処分者数のページにあります。